ユダヤ人はなぜ優秀か

 

 ユダヤ人には頭がいい人が多いと言われる。実際、アインシュタイン、マルクス、チャップリン、フロイト、ミルトン・フリードマン、ポール・A・サミュエルソンなど優秀な仕事をした人が多い。確率的に言えば、ユダヤ人に優秀な頭脳が出現する確率は、他の民族の追随を許さないと思われる。なぜ、彼らに優秀な人が多いのか。

 私が初めて本物のユダヤ人を見たのは、13年前にイスラエルを旅行したときだった。そのとき現地のガイドさんから、ユダヤ人は長い間世界を放浪し迫害を受けてきたが、その間に「迫害を受けても絶対に奪うことができないものは頭の中にある知識である 」として、ユダヤ人は子どもの教育に非常に熱心に取り組むという話を聞かされ、なるほどと思った。



 R・バークは複数の異なった文化に同時に属している人を「マージナル・マン」(辺境人)と名付けたが、これに従えば、ユダヤ人が優秀なのは彼らが世界中で迫害される中で、マージナル・マンとして異なる文化の響き合うところで生きてきたため、それらがミックスされて新しい学問や芸術を生み出した、とも考えられる。つまり、マージナルであったために自由な発想が可能であった(そうしないと生き延びられなかった?)ということである。そうしたことも原因の一つかもしれない。

 フロリダに、大金持ちが住む豪邸が建ち並ぶ一角がある。小さな町の区画全体がフェンスで仕切られており、入り口には武装した警備員が24時間常駐している。中に入るには身分証明書を見せないと入ることができない。アメリカではこのように、お金持ちが安全を金で買うことは常識である。

 ここに住むあるユダヤ人男性は、常にアタッシュケースのなかにダイヤモンドを詰め込み、たとえ戦争になっても、これ一つ持って逃げれば生活に困らないようにしているという。迫害を受け続けてきたユダヤ人の究極の危機管理と言うべきか。 

 現在、ユダヤ人人口は世界で約1300万人。そのうちの約600万人がイスラエルに住み、600万人弱がアメリカに住む。アメリカではニューヨークタイムズ、ゴールドマン・サックスなど、巨大なユダヤ系企業がたくさんある。そうした事情もあってか、ユダヤ人は世界征服をねらっているという陰謀説をはじめ、彼らに対する偏見は今なお失せてはいない。

 

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